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●版元・蔦屋重三郎と喜多川歌麿が組んだ大判六枚揃いの錦絵である。銘酒と名高い酒と人気の遊女を組み合わせた、寛政七年(1795)頃の板行である。通説では、蔦谷重三郎が寛政九年(1797)48才で死ぬと、気落ちしたのか、以後の歌麿の絵は濫作気味になったといわれるが、下記の浮世絵には、すでにその傾向が見られる。他の引札を見る
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『名取酒六家選』遊女名 銘酒名と産地 所蔵博物館・美術館 |
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大もんじゃ内淺ぢふ |
木綿屋七ッ星 摂津伊丹の木綿屋の銘酒 ボストン美術館 ビゲローコレクション |
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玉屋内しつか |
満願寺養命酒 摂津国池田の満願寺屋の養命酒 パリ ギメ東洋美術館 |
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若那屋内白露 |
木綿屋男山 摂津国池田の銘酒 東京国立博物館蔵 |
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角玉屋内小むらさき |
山城屋の山やま 産地は不明 不明 |
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越前屋内通路 |
紙屋きく 摂津国伊丹 紙屋の銘酒 ライデン国立民族学博物館 |
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兵庫屋華妻 |
坂上乃剣菱 夏衣装 ブリュッセル ベルギー王立美術史博物館 |
(参考)名品揃物浮世絵 全十二巻 『3
歌麿1』ぎょうせい 平成3年 |
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若那屋内白露 大もんじゃ内淺ぢふ |
  白木屋 右・酒「剣菱」の引き札、兵庫屋華菊 |
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江戸呉服屋の引札であろう『夏衣裳当世美人』は喜多川歌麿晩年の浮世絵 |
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夏衣装当世美人 白木屋 |
白木屋仕入れの乗布向き(上質の麻の小袖) |
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夏衣装当世美人 越後屋 |
越後屋仕入れのチジミ向き |
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夏衣装当世美人 亀屋 |
亀屋仕入れの大形向き(大形とは大きな形染めのもの) |
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  越後屋
亀屋
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●喜多川歌麿の終焉 入牢後に、描く事に気力を無くした歌麿、荒れる画力に無気力な浮世絵
文化1年(1804)5月に幕府による出版物・錦絵類の規制処罰で、歌麿は入牢・手鎖50日を受けた。この後、歌麿の精神的・肉体的に急速に衰え、死期間近と見た数多くの版元が、歌麿の絵を求めたと言うが、かつての歌麿でなく濫作であった。上記の浮世絵も人物も画面構成も良くない。特に白木屋は色気も体のラインも良くない。夏衣装当世美人は、9枚の連作と思われるが、その中より3枚を紹介する。他の和服店は泉屋、松坂屋、伊豆屋、大丸屋、荒木屋、若屋である。(参考・『原色浮世絵大百科事典 第七巻 作品二 清長ー歌丸』大修館書店 昭和55年刊)
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